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部下のモチベーションを上げる3つの理論を学ぶ【マクレランドの欲求理論・公平理論・期待理論】

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あらゆる職場において、労働者のモチベーションは事業を成功へ導く大きな力となります。そのため企業が高いモチベーションを持った人を採用し、また目標を達成するための努力を怠らないことを彼らに求めるのは合理的と言えるでしょう。しかし、モチベーションとは数値化できるような個人の能力でもなければ、単に人から与えられ続ける受動的なものでもありません。その曖昧なモチベーションとは一体何なのかを探るために、今回はモチベーションに関する3つの理論「マクレランドの欲求理論」「公平理論」「期待理論」をご紹介します。そしてそれらから、他人のモチベーションを効果的に高めるためにはどうしたらよいか、部下のモチベーションを上げるために上司がどうあるべきか、ということを導いていきましょう。

 

 

そもそもモチベーションとは

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皆さんにも馴染み深い「モチベーション (motivation)」という言葉は、日本語で「動機づけ」などと訳されますが、心理学的には「目標を達成するために特定の行動を起こし、持続させるための心理的なエネルギー」と定義されます。何か仕事を任された時に「おっしゃやるぞ!」と意気込む気持ち、またその仕事を完了させるまでの高い心持ちが「モチベーション」なのです。

 

では仕事をする上でその心のエネルギーはどのようにして高められるのでしょうか。ここからは「1. 自分の欲求が満たされること」「2. 他者と比べた公平感があること」「3. 成果・報酬が期待と見合っていること」がモチベーションを高めるために重要であるとする3つの理論をそれぞれご紹介します。

 

1. マクレランドの欲求理論

アメリカの心理学者デイビッド・C・マクレランドは、人間が行動を起こす動機には「達成欲求」「親和欲求」「権力欲求」の3つの欲求が主に関与しているとする理論を提唱しました。3つの欲求の強さは個人によって異なり、その個人は最も重視する欲求を満足させることのできる行動に対して、高い心理的エネルギーを持つという理論です。

 

達成欲求

自分が物事を達成することで成功したいという欲求。成功による報酬よりも、個人のパフォーマンスによって成功を収めたいという欲求、それが達成欲求です。この欲求が強い個人は、何事も自分の手でこなすことを好み、それに対する素早いフィードバックを求めます。簡単すぎるタスクでは満足できず、難しすぎると失敗を恐れるために中程度のリスクを好むことも特徴のひとつです。また、チームの成功よりも自分の評価を気にし、チームの中で他人よりも優れていたいという欲を持ちます。

 

親和欲求

他者と良い交友関係を築きたいという欲求。他者と積極的に関わり、親しい関係を築き、近しい間柄を保ちたいという欲求が親和欲求です。この欲求を強く持つ個人にとって、上司が優しく、チームの雰囲気が良い状態は仕事をするのに最適な環境です。チームにおいても、チームがどれだけうまく仕事をこなせているかより、どれだけ良い関係を築けているかに関心を持ちます。彼らは他人との関係を築き上げるのに長け、できるだけ争いを避けたいと考えます。

 

権力欲求

他者にインパクトを与え、影響力を持ち、コントロールしたいという欲求が権力欲求です。責任感を持つことを好み、常に自分が他人を動かせる状況にこだわりを持ちます。権力欲求が強い個人はグループの中でも自分は他者よりも目立ちたく、支配的な役割を取りたいと強く思っています。

 

マクレランドは以上の3つをモチベーションと強く関わる欲求として提示しました。この理論によれば、特定の個人のモチベーションを高めるには、その個人が3つの欲求のうちどの欲求を強く持つのかを見極め、それに適したタスクを任せ、適した環境作りを心がけることが重要であることがわかります。

 

*しかし「欲求」と「能力」は別次元のものであるということは注意しなければなりません。語られているのは「欲求」を持つ個人にとってはそれを満たすために高いモチベーションが生まれるということであって、「欲求がない=能力がない」ということでは決してありません。そういった欲求が弱い個人にとっては「欲求を満たすこと」が単に不必要で、他にモチベーションの源を持っていると捉えるのが適切でしょう。

 

2. 公平理論

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J.S.アダムスは仕事における公平感とモチベーションとの関係を見出し、公平理論を提唱しました。アダムスの理論によれば、自分が仕事に投入したものすべてのもの (インプット: 努力・知識・経験・時間など) と仕事から得たものすべてのもの (アウトプット: 賃金・昇進・社会的地位・その他の報酬)  の比率が、他者のインプットに対するアウトプットの比率と比べて同じであると感じた時にモチベーションが上がるといいます。たとえ他者の方が良い待遇を受けていたとしても、自分の知識や費やした時間などが他者のそれより劣っているならば、この比率は保たれることになります。

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ところが、1. 他者がインプットに対して得たアウトプットが自分のそれよりも高かった場合、または、2. 自分がインプットに対して得たアウトプットが他者よりも高かった場合、この公平感は崩れてしまいます。1の場合、自分が投入したインプットに相応しない結果に失望し、モチベーションは下がってしまいます。2の場合、他者よりも良い待遇を受けることでモチベーションへの影響は無いように思えますが、実際は罪悪感を覚えたり、公平感を得るために仕事の質を下げてしまったりするのです。

 

この公平感を持たせることは、上司がインプットに見合ったアウトプットを提供することで簡単に達成できるように思えますが、この公平感の一番厄介な点は、自分のインプット量とアウトプット量、また他者のそれらが一個人の主観によって決められてしまうという点なのです。要するに、第三者からの公平な判断ではなく、不公平だと感じる指標は個人に委ねられてしまうのです。

 

公平理論から考えると、個人の公平感にも気にかけること、また個人と他者のインプット・アウトプットに言及するなどして待遇が公平であることを認識してもらうことがモチベーションを高める効果的な方法であると言えます。

 

3. 期待理論

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V.ブルームによって提唱された期待理論でモチベーションは、

「モチベーション」=「期待」×「有用性」×「価値」

という掛け算の式で表現されます。「期待」は「この程度の努力でこの程度のことが成せるだろう」という見込み、「有用性」は「この程度のことを成せばこの程度の報酬がもらえるだろう」という公算、「価値」は「その報酬がどれだけ魅力的であるか」をそれぞれ表しています。

 

モチベーションが掛け算で表されるということは、どれかの要素がゼロであればモチベーションもゼロになることになります。例えば、どんなに努力をしても何も達成できないと思っては期待がゼロに。どんなに頑張っても報酬がなかったり、その報酬が全くもって魅力的に感じなければモチベーションはなくなってしまうのです。

 

逆を言えば、モチベーションを高く持たせるためには3つの要素を高めることが適切だということになります。努力が成果と結びついていることを明確にし (期待の上昇)、成果と報酬の結びつきを保証し (有用性の上昇)、どんな報酬に価値を置くかを測る (価値の上昇)こと。これが期待理論から導かれるモチベーションを高めるの効率的な方法です。

 

 まとめ

モチベーションに関する3つの理論をご紹介しました。では最後に部下Aさんのモチベーションを上げるために行うべきことを以下にまとめてみましょう。

【マクレランドの欲求理論】

モチベーションに関与する3つの欲求のうちAさんが最も強く持つ欲求を見極め、その欲求が満たされるタスクを任せ、適切なフィードバックを行います。また、その欲求を強く持つ個人の特徴を知り、Aさんの仕事環境を整えます。

【公平理論】

Aさんが自分の「インプット:アウトプット」比を他者のそれと比べて同等であると感じているかの確認を行います。ズレを感じている場合は、Aさんもしくは他者のインプット・アウトプットに言及するなどして比率の認識を公平に近づけます。

【期待理論】

Aさんが価値を見出す報酬を模索し、Aさんの努力が成果に、その成果が価値のある報酬に結びついていることを保証します。

 

このように対応することで部下のAさんはモチベーションを高く持ち、仕事に励んでくれること間違いないでしょう。(ただしモチベーションと能力は全くの別物ですから、Aさんが非常に高いモチベーションを持っているのにも関わらず仕事がはかどっていないといったケースでは、モチベーションではないどこか別の部分に改善の余地があるのかもしれませんね。。。)

 

いかがでしたか?皆さんが自分のモチベーションの源を知るきっかけになったり、実際に職場の方のモチベーションを上げたいという方にお届けできていれば幸いです。今回はマクレランドの欲求理論・公平理論・期待理論をご紹介しました。